The Secret of Psalm 46
4・詩篇46篇の謎
(The Secret of Psalm 46)
モリアティー氏はGDCの常連的な存在で,いつも大人気の講義となる。その理由は,練り込まれた遊び心いっぱいの講義方法と,まったく関係なさそうな話題からゲームデザインについて考えさせる講義内容である。今回も,部屋の照明をすべて落とし,バッハの音楽をかけながら,1970年代にイギリスで起こった"黄金のウサギ"の財宝探しのブームや,バッハの楽譜に秘められたレトリック("ヨハンセン"の14文字に因んだ音符の数や,B,A,C,H――Bマイナーのドイツ表記――という音色など)などを紹介し,「芸術的な遊びというものは,隠しキャラなど小手先の商売道具ではなく,すでに受け手の前に出された状態で存在し,知的な興味や探求によって引き出されるべきだ」と述べた。 講義のタイトルは,シェイクスピアが埋葬されているという教会に,旧約聖書が詩篇46篇のページを開いた状態で展示されていることから取られている。つまり,これを題材に根拠なき論説を立てる一部の熱狂的知識人を皮肉っているわけだ。 The Witnessでも出てくる